ありえないなんてことは、ありえない

12.2018

この日のことを思い出そうとすると、
秒で涙が出てしまう。

だから、書くのに覚悟が必要だった。

でも、ダーリンに起きたことを辿るなら、
避けるわけにはいかない。

まだ車椅子にも乗れなかった頃。

少しずつ、でも確実に
回復に向かっていたダーリンの一方で、
家では、初代ワンコのコタが
病院通いを続けていた。

心臓が悪いとは言われていたけれど、
それまでは本当に元気だった。

なのに、ダーリンが転院した頃から
だんだんご飯を食べなくなって、
点滴が必要な状態になった。

そして、12月26日午前2時過ぎ。

看病していたおいらが
少しだけコタツでうたた寝している間に、

静かに、ひとりで、
虹の橋を渡ってしまった。

別のところに住んでいた長男がすぐに帰ってきて、

その日のうちにコタは
ちいちゃな、ちいちゃな骨壷に収まった。

長男と次男とおいら、
涙が枯れるほど、という言葉が
たとえじゃなくなるくらい、泣いた。

夕方になって、
やっとダーリンの病院へ向かった。

コタの写真を見せながら言った。

「ダーリン、コタが死んじゃったよ。
 コタだよ。わかる?
 あなたが名前をつけたコタが死んじゃったよ」

わからないかもしれない。

それでも伝えた。

ずっと一緒にいたんだから。

ダーリンは、しばらく写真を左手に握って、

それを見ながら、

すーっと涙を流した。

言葉が通じたのかは、わからない。

もしかしたら、
おいらたちの様子から
感じ取ったのかもしれない。

それでも——

伝わっていた。

そして、そのときの感情を
見せてくれた。

ああ、この人、
一緒に悲しんでくれている。

そう思ったとき、

嬉しい、というより、
安心した。

まだ、
おいらたちは家族でいられる。

そう感じた。

この日のことは、
何年経っても、くっきり覚えている。

そして、この出来事は、
のちの決断に
大きく影響した。

ちなみにこのとき彼が涙を流したことは、

病院のスタッフにとって
「ありえない」出来事だったらしい。

耳からの言葉は、
ほとんど伝わらない状態だったから。

でも。

「ありえないなんてことは、ありえない」

この日から、
それが、おいらの座右の銘になった。

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