北見のハッカに愛された女の話~愛が目に沁みる
スズメバチとの格闘以降、我が家では北見のハッカに対する信頼度が前年比1300%ほどになり、窓の網戸や台所のシンク、玄関、裏口etc、あらゆるところに100倍希釈でスプレーするようになった。
もちろん、庭仕事や洗濯で外に出るときの人体にも遠慮なく吹きかけている。
おかげで例年に比べ、蚊に刺されたり、あの忌むべき黒光りした平べったいヤツとの遭遇も激減した。
調子に乗ったあたしは、換気扇周りや冷蔵庫の上など、上に向かってもスプレーするようになった。
すると、細かい霧状の希釈ハッカが空間に拡がり、なんともいい香りが漂って気持ちがいい。
…あたしは、常時眼鏡を着用しているので自覚できなかったのだ。
香りがするということは、当然、顔の周りにもハッカが漂っているということに。
まさに不覚。
その日、あたしはいったん布団に入ったあと、毎日やっているスプレー業務をやり忘れていたことに気づいた。
おっとと、忘れてたぜ。
スプレーしてから寝よう。
そう思い、裸眼で台所へ。
そして、いつものように、シュッシュッシュ。
あ〜、いい匂い……
と、その瞬間。
目尻に微小な水滴を感じた。
イテ。
うわあ。
薄めてるのに。
あんなちょっとなのに。
目の近くだと結構痛いなあ。
ごしごし。
ぎゃー!
指にハッカついてた〜!
タオル、タオル……
ぎゃ〜!
タオルにもついてた!
だめだ。
洗面所で顔洗おう。
寝る間際でのこの仕打ち。
おかげですっかり眠気は吹き飛んでしまった。
いや。
毎日愛用していることに、ハッカが謝辞を表したのだろう。
きっと愛されているんだな。
うん。
と、オチも何もない話でした。
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